オーストラリアに住むぞ!!!その11

　　　　　　　　　　　　　久々の再会♪

　　　　　　　　　　　Kさんに会う日、ぺろちゃんとあたしはすごく早く目が覚めた。

　　　　　　　　　　数年ぶりのKさんとの再会。前に来た時はKさんが忙しくて、会うには会えたけど一緒に食事も

　　　　　　　　　　出来やんだから今回は一緒に色々出かけたりしたいな。ぺろちゃんはKさんに初めて会うので

　　　　　　　　　　ちょっと緊張しとるみたい。

　　　　　　　　　　　約束の9時、二人でロビーに下りていくとちょうどKさんがドアを開けて入って来た。数年ぶり

　　　　　　　　　　の再会。Kさんは全然変わってない。Kさんは私が新婚旅行の前にKさんに電話した事をすごく喜

　　　　　　　　　　んでくれた。Kさんと一緒に秘書のTさんも来てくれた。

　　　　　　　　　　　まずは食事に行こう、という事になりKさんの運転でマリーナミラージュ近くのレストラン

　　　　　　　　　　オメロスへ。ここ、めっちゃ有名なとこでいっぱい賞とかとっとるし、めっちゃきれいなん♪

　　　　　　　　　　Kさんはここにはよく来るらしく店内に居たスタッフ全員が挨拶しに来る。おおお...

　　　　　　　　　　「何か食べたい物ある？なかったら適当に頼むけど」とKさんが言ってくれたのでKさんのお勧め

　　　　　　　　　　のメニューを注文してもらう事にした。

　　　　　　　　　　　目の前にどんどんごっつぉ♪が並んでいく。シーフードプラッターはここの名物料理。他にも

　　　　　　　　　　パスタやら何やらおいしそうな物がテーブルいっぱいに!!ぺろちゃんとあたしはニッコニコ♪

　　　　　　　　　　「せっかく来たんだからいっぱい食べて。ぼくはいつでも食べられるんだから」とKさんは私ら

　　　　　　　　　　の食べる様子を楽しそうに見ている。Kさんは朝は余り食べやんのやって。ただただ私らにごち

　　　　　　　　　　そうする為にここに連れて来てくれたんやな...おおお、何年経ってもええ人や。

　　　　　　　　　　　動けやん位お腹いっぱい食べた私らは大満足で店を後にした。Kさんは「ぢゃあ、コーヒーでも

　　　　　　　　　　飲みに行こうか」と言い車を走らせる。「近くのカフェにでも行くんやな」と思とったら何かえ

　　　　　　　　　　らい豪華な造りのホテルに入っていく。ん？ここどこさ。

　　　　　　　　　　　こんなとこに来るとは予想してなかったもんで思いっきり普段着のあたしはちょっぴり気後れ

　　　　　　　　　　してしもた。車のドアが開けられる。おおお、男前!!!あっともこっちも男前ばっかりやん!!!!

　　　　　　　　　　　ホテルの中に入るとそこはパラダイスやった。みんながみんなめっちゃきれい。男も女もみん

　　　　　　　　　　な。何ぢゃ、ここ。ハーレム???みたいな感じよ。そう、ここがあの有名なベルサーチがプロデ

　　　　　　　　　　ュースしたホテル、パラッツォベルサーチ!!!ゴージャス、という言葉が余りにもぴったり...

　　　　　　　　　　こんな贅沢なホテル、見た事ない...ロビーに無造作に置かれたクッションも、スタッフの制服も

　　　　　　　　　　全てベルサーチ!!!まさかここに来る事があろうとは思いもせんだわ。せっかく来たんやでせめて

　　　　　　　　　　写真だけでも撮っとかなな。Kさんが「写真いっぱい撮っておいでよ」と言うてくれて、一回りし

　　　　　　　　　　てプールやらロビーやらでさんざんぱら写真を撮りまくったった。多分この先ここに来ることは

　　　　　　　　　　ないやろでな...せやけどこんなとこでコーヒー飲ませてくれるなんて新婚旅行やで気を使ってく

　　　　　　　　　　れとんのやな。感謝、感謝!!!そのコーヒーも何かお高い味に思えるで不思議。周りの雰囲気も

　　　　　　　　　　味にかなり影響するわけよ。ま、ここでコーヒー飲むんも最初で最後やろけどな...はは..は。

　　　　　　　　　　　せっかくやでトイレにも行っといた。記念やで。何か持って帰れるようなもんはないかしら..

　　　　　　　　　　ロビーのクッションかって「どうぞお持ち帰り下さい」と言わんばかりに無造作に置いてあるやん。

　　　　　　　　　　そうさ、ここは「何か持って帰れへんかな」なんて思う人はお泊りにならないホテルやで、だから

　　　　　　　　　　何でも無造作に置いてあるんや...ああ、あたしもそんな気持ちの余裕を持ちたい!!!

　　　　　　　　　　ホテルを出たら「これからゴルフでもどう？」とKさんが言うてくれてKさんの友達Mさんがマネー

　　　　　　　　　　ジャーをしとるゴルフクラブへ行く事になった。

　　　　　　　　　　　私はこう見えてもゴルフ歴は長い。えっへん。もう11年位になるかな。始めて三ヶ月位は毎日

　　　　　　　　　　練習場に通って250球は打っとった。マメが出来てつぶれてもバンドエイドを貼って打ち続けた。

　　　　　　　　　　その甲斐あってフォームはきれいになったんやけどコースに出たんは片手で足りる位しか経験が

　　　　　　　　　　ない。ま、久々に運動するってことでな。

　　　　　　　　　　　Kさんの弟はプロゴルファーやもんでKさんもゴルフは相当上手い。あたしもええとこを見せやな

　　　　　　　　　　と張り切ってドライバーを構える。「ナイスショット♪」おおお、勘は鈍ってないぜ。ふふふ。

　　　　　　　　　　セカンドショットもきれいにフェアウェイキープ♪ほぉ〜っほっほっほ。ざっとこんなもんさ。

　　　　　　　　　　　ところが、である。私が元気なのはここまで...私はパットが大の苦手なん。芝を読む？何ぢゃ

　　　　　　　　　　そりゃ。あたしは佐々木の爺さんぢゃないんやで緑の心は分からへんわ。

　　　　　　　　　　「パットは頭を使うんだよね」とKさんの非情な一言。何で「パットが出来やんやつはアホ」と

　　　　　　　　　　言われるようになったんや???私は力任せに打つしか能が無い能無しさ。ふん。

　　　　　　　　　　それでもどうにかこうにかホールアウト。スコアは数えてなかったで分からんけど数えとったら

　　　　　　　　　　言うまでもなく散々な数字になったことやろな。

　　　　　　　　　　そんでもさ、やっぱ気持ちええんさ。コースに出るんは...広くて緑はいっぱいやし、こんなとこ

　　　　　　　　　　なら歩くんも苦にならんし♪むしろ汗が気持ち良く流れて...Kさんのおかげで私らの新婚旅行は

　　　　　　　　　　予定にない豪華なものになりそうだ...

　　　　　　　　　　　ゴルフを終え、Kさんは自宅に私らを自宅に招待してくれると言う。前に住んどったアクエリアス

　　　　　　　　　　は売ってしまったらしい。「今度はもっと良いとこだよ」と連れてってくれたのがブロードビーチ

　　　　　　　　　　にそびえ立つオアシスというコンド。ここ、はっきり言うてめっちゃええとこやった。周りの環境

　　　　　　　　　　もすごく良い♪お洒落なカフェとかあるしサーファーズほどがやがやしてなくて...落ち着いた感じ

　　　　　　　　　　っていうのかな。Kさんの自宅はその上の方の階やった。広いリビングに所狭しと置かれた花。え？

　　　　　　　　　　花？「ぼくが作ったんだよ」とKさん。Kさんはフラワーコーディネーターもやっとるんやて。へええ

　　　　　　　　　　そんなん出来るんですか...

　　　　　　　　　　　ベランダにはBBQセットまである。ベランダでBBQって...日本では考えられやへんやん？うちのア

　　　　　　　　　　パートの庭でBBQやったら絶対となりのおばちゃんが犬をけしかけてくるわ。

　　　　　　　　　　　Kさんの自宅でのんびりしとると「ん？そう言えば前は彼女と一緒に住んどったけど今は...？」と

　　　　　　　　　　いう疑問が頭に浮かんだ。でもなあ、そんなんストレートに聞けやんやん？

　　　　　　　　　　「ぼくねえ、Mr.Xって呼ばれてるんだよ」とKさん。「へええ、謎が多いんですか？」と私。「ほら、

　　　　　　　　　　オーストラリアのビールでフォーエックスってあるじゃない？あれと同じでX4なんだよね」

　　　　　　　　　　・・・・・そ、そうですか。それはもしやエリザベス・テーラーに対抗しようと頑張って？

　　　　　　　　　　私が初めて会うた時は確かまだX1でしたよね。へええ。へええ...

　　　　　　　　　　　でもな、Kさんは本当にすごい人なん。離婚しても絶対に子供を手放さへんの。自分で子供達を

　　　　　　　　　　全員成人まで育てたんやで。大変やったと思う。誰に対しても愛情の深い人なんやろな。

　　　　　　　　　　　夕飯はこれまたKさんの友達が経営する中華レストランでご馳走になった。店内にはカメラマン

　　　　　　　　　　が回っとってお金を払うと写真を撮ってくれる。Kさんが「記念に撮れば？」と言ってくれ、みん

　　　　　　　　　　なで一緒に写真を撮ってもらった。後日送られてきたその写真は私らの宝物になった。

　　　　　　　　　　　　　Kさん、ありがとう♪

　　　　　　　　　　　それからゴールドコーストを離れる日まで、Kさんは毎日私らをあちこちへ連れてってくれ

　　　　　　　　　　毎晩中華レストランでカラオケを歌った。何で中華レストランでカラオケなんやろ...と思た

　　　　　　　　　　けどまあええやん。それはそれで面白いさ。それより毎日毎日これでもか、これでもかとばか

　　　　　　　　　　りにご馳走を食べ続けたおかげで私らの顔が見る間にまんまるになってしもた。

　　　　　　　　　　　そしてゴールドコーストを離れる前日、帰りにKさんから二つの包みを渡された。「これね、

　　　　　　　　　　おれが作ったんだけど、明日食べて」中身は何とKさん手作りのお弁当!!!調理師でもあるKさん

　　　　　　　　　　お手製の塩鮭や焼肉、玉子焼きなどなどおかずいっぱいのお弁当。私らは何か感動、とか感激、

　　　　　　　　　　とか月並みな言葉では表現出来やん気持ちになった。どこまでもどこまでもKさんはええ人なん

　　　　　　　　　　やな。翌朝、Kさんのお弁当はKさんの愛情を噛み締める余裕もなくあっという間に空になった。

　　　　　　　　　　　　　おまけの話♪

　　　　　　　　　　　初めての出張。行き先は姫路。歩き疲れて新幹線で熟睡。「ゴンッ!!!」顔に激痛が走る。

　　　　　　　　　　それでも寝た。それ位疲れとったん。数十分後、目覚めると手が顔に張り付いて取れへん。

　　　　　　　　　　そんな訳ない。力任せに引き剥がす。手が真っ赤になっとる。「は？」隣の席の人に「これ」

　　　　　　　　　　と手を見せると「か、鏡見ておいで」と叫ばれた。急いで鏡を見に行くと顔半分血だらけ。

　　　　　　　　　　窓枠で顔をぶつけたらしい。スカーフも血に染まっとる。幸い顔を押さえて寝とったおかげで

　　　　　　　　　　キズがきれいにふさがっとった。でも今でも姫路、と聞くと傷がうずく...